PROFESSOR


津曲正俊(つまがり・まさとし)

■学歴

慶應義塾大学  経済学部  1990年卒業  

慶應義塾大学  経済学研究科  修士  1992年修了 

ボストン大学  経済学研究科  博士  1999年修了

慶応義塾大学 経済学部 助教授(現在の准教授)2000年就任 

ボストン大学 訪問研究員 2005年-2007年

ボストン大訪問研究員 2015年-2017年

  

■ 学位 

経済学   ボストン大学  1999年




教授より

1、専門分野、研究テーマ(詳しい内容)

 

ミクロ経済学の一分野である「契約理論」が私の主要な研究分野です。「契約理論」は、人々の行動を織り込みながら制度や組織をどう設計したらよいかを考察する研究分野です。

 

世の中は、企業組織、政治制度、法制度、金融制度など多種多様な制度・組織であふれています。それらの仕組みが適切に設計されてはじめて、経済はまともに機能します。経済がなかなか発達しない国や地域がなぜあるのか?その原因をたどると、制度設計の失敗に行きつくことが多いです。

 

しかし、制度や組織の設計は、そんなに簡単なことではありません。設計者の理想通りに人間が動いてくれるとは限らないためです。人間は、常に品行方正で、協調的で道徳的な行動をとるとは限りません。見られていなければ、サボったり、嘘をついたり、自分勝手な行動をとったりする存在でもあります。人間のそのような側面を踏まえた仕組みづくりが必要不可欠となります。契約理論はこのような問題を考察するとても有用な道具です。

 

現在の私の研究テーマは、結託、癒着、談合などといった、グループでの逸脱行為が発生する状況での組織・制度設計の話です。日本でも、しばしば競争入札における談合や政府と民間企業の間の賄賂のやりとりなどがニュースになります。発展途上国では賄賂の横行が、経済の停滞を招く大きな要因とも言われています。このような問題が起きないのは理想ではありますが、人間の悲しい性ですが、それを完全に防ぐてだてなどありません。むしろそれが起きることを想定済みとしたうえで、そのコストを小さくする仕組み作りを考える必要があります。そのような内容での経済理論の開発が目下取り組んでいる私の研究テーマです。

 

2、主要論文とその内容

 

契約理論の分野で私が書いた論文を2本紹介したいと思います。

 

Mookherjee, D., & Tsumagari, M. (2004). The organization of supplier networks: effects of delegation and intermediation. Econometrica, 72(4), 1179-1219.

Mookherjee, D., & Tsumagari, M. (2014). Mechanism design with communication constraints. Journal of Political Economy, 122(5), 1094-1129.

 

二つの論文は、生産活動の管理を他者に任せる「委託(delegation)」の良い点悪い点を分析した論文です。生産活動がうまくいくためには、大勢の行動を適切に調整することが不可欠です。そのために、集権的な方法と分権的な方法の二つがあります。集権的な方法とは、トップが皆から情報を集めて、一番良い調整方法を考えて、それを命令をしてやらせる方法です。分権的な方法とは、現場同士の自主的情報交換を促し、現場に意思決定を委ねるやり方です。コミュニケーションはそれ自体にコストの要する活動であることを考えると、どちらがよいか一概にはいえません。どのような条件のとき、どちらがよいのかといった問題を理論的に検討しています。

 

3、2年生へのメッセージ

 

私のゼミでは、ミクロ経済学を幅広く勉強して、それを現実の経済問題の分析に使えるようになることを目的として活動しています。ゲーム理論、産業組織論、マーケットデザインの理論、契約理論などの最新の内容を含むミクロ経済学全般を勉強しております。

 

ミクロ経済学は、経済学のほとんどの専門分野で分析の基礎として使われています。三田で何を研究されるかに関係なく、しっかり日吉で勉強していただきたいと思います。そしてもっとミクロ経済学を勉強したいなと思われたら津曲ゼミは最適だと思います。みなさんと一緒に研究活動ができるのを楽しみにしております。